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進撃の兄貴

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土曜日に今年初の外呑みをしました。

呑み始めが22時だったので「あっ!」という間に朝である。

日曜の早朝の新所沢駅は人も少ない。

せっかくなので、背中をちょっと丸め哀愁を漂わせてみる。
視線も私のもとから去っていった過去の女の横顔などに思いを馳せる風味で、西友の壁を見つめ憂いを浮かべてみる。

はたから見れば、酔眼を虚空に漂わせて寒がっているおとっつぁんにしか見えないでしょうな。

そうこうするうちに電車が来てドアが開く。

降りてくる4人の派手なお姉さ…ん?
なにやら異国の言葉を喋っている。
しかも、その声は太く低い…。

…や…やつらだ…。

しかし、最近では彼女たちと接する機会も無いし、川越方面から来た電車なので問題は無いであろうと電車に乗り込むのだ。

「ダディ〜!」
(はっ…)
「ダディ〜!」
(目を合わせてはいけない)
「ダディ〜 ナニシテル〜?」
私の腕を掴み離さない兄貴…。
「ひ…人違いですにゃ…」
動揺して猫のような返事をしてしまった。
「チガウヨ〜 タカチャンデショ〜」
「わ…私は…ム…ムスタファである」
「チョットオイデ」
「あっ…やめて…」

寒風吹き荒ぶなか電車を待ち続け、やっと暖かい車内へ入ったばかりなのに…。
4人のオカマに車外へ引きずり出される、いたいけな初老の男。
4人は女性の格好をしているが、実態は働き盛りの親父である。

(た…助けて…)

乗客は見て見ぬふりだ。

電車は虚しく去っていく。

「ワタシ ダレカワカル〜?」
「いや…、マスクをしているから…」
「オオ ソウネ マスクトルヨ〜」
「ア…アキナさんです…」
「ソウヨ〜 ヒサシブリジャナ〜イ」
「はぁ…」
「ワタシノコト スキデショ〜?」
「は…はい…」
小心者なので逆らえない自分が情けない…。

何が悲しゅうて、朝のホームでオカマにコクらなけりゃあかんのだ…。

「タカチャン ケータイカシテ〜」
「あっ…返して…」
「ナニコレ〜 ガラケ〜ネ ハハハ」
「…」

私の携帯で自分のスマホに電話して電話番号の履歴を残すアキナ兄貴。

遠目に見れば4人のガタイのいい女性に囲まれてカツアゲをされている善良な小市民ではないのか?

「コレデバンゴーワカルデショ〜」
「は…はぁ…」
「ジャア デンワシロヨ〜 バ〜イ」
「え〜っ…」

極寒のホームへと独り戻され、次の電車を待つことに…。

ホームにいた人々は、今の電車に乗ってしまい残されたのは私と駅員だけである。
駅員と目が合う。

(なんで、助けてくれなかったんですか…)
(お客様、申し訳ありません…でもお知り合いのようでしたから…)
(そうですよね…)
(寒いですから、気をつけてお帰りください…)
(ありがとうございます…あなたも風邪などひかないように…)

言葉には出さないが、こんな会話があったような気がしました…ふっ。
by takakinger | 2014-01-27 15:20 | Comments(0)

禁じ手乱発


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